あの日
あの風の吹いてた丘であった人
話し込んでて陽が影ってしまった
気付けばもう月が昇り…知らない話に夢中になって聞きすぎて
彼の懐で居眠りをしてしまったみたい
暖かい体温と夜風をしのぐように体にかけられた布、身じろぎ顔をあげた先に視線が重なる
少し照れくさくなって、ふいに顔を伏せてしまったけど
その瞬間気が付いた
ぁっ!!
あれからどのくらいの刻が過ぎただろう…
もう少し、もっとココにいたい想いはあるけど
帰らなきゃ、大変なことになる
彼の懐に治まってた小さな体、がばっと私は顔をあげて
「もう行かなきゃ…私…あの…」
言葉に詰まる、帰りたくない、でも帰らなきゃいけない
紅い瞳が迷いに揺れる
「うん、気をつけておかえり、一人で帰れる?」
見上げた青い瞳の彼からの口調は優しくて、柔らかな表情だった
「大丈夫、帰れる…あの、またっ…」
言いかけて先が続かない、また会える保障はなかったから、それでも私の言葉の代わりのように続く言葉に彼を真っ直ぐ見ることができた
「また、会おう、会えるよ」
その言葉が耳に届いて、うれしく感じた本当に嬉しかったから
その言葉を聞けたから立ち上がり、思いっきり頭を下げて顔をあげる
「ありがとう」
その言葉を私が呟いたけど、聴こえたかな、失礼じゃなかったかな
顔をあげると同時に踵を返して駆け出し、丘を降りたから
振り返らなかったけど、多分彼はあの青い瞳で見送ってくれてるだろう
私は今は誰にも隠れて戻ることだけ
丘を降りて 街を抜けて